相談のメールをいただいたけれど、今回はお受けできない。そう決めたのに、返信の文面が決まらず、数日そのままにしてしまう。断るのは悪いことをしているようで、言葉を選んでいるうちに時間が経っていきます。今回は、依頼をお断りするときの返信の書き方について書きます。
返事は、早いほうがやさしい
断りの返信で、いちばん相手を困らせるのは、文面より遅さです。
相談した側は、返事を待っているあいだ、ほかに声をかけるかどうか決められません。時期の決まった依頼なら、待つほど選べる先が減っていきます。丁寧な文章を三日かけて書くより、短くても翌日に届くほうが、相手のためになることが多いと思います。
受けられないと分かった時点で、まず返す。言葉を整えるのは、そのあとで十分です。どうしても判断に日数がかかるときは、検討に少しお時間をいただきます、と先に一行だけ送っておくと、相手は待つあいだの見通しが立ちます。
理由は、一つだけ書く
理由を書かずに断ると、相手は自分の書き方が悪かったのかと考えてしまいます。かといって、事情を細かく説明すると、交渉の余地があるように読まれます。
書くのは、一つだけです。たとえば、ご希望の時期にはすでに予定が埋まっていること、今回のご相談の内容が、こちらで対応している範囲から少し外れていること。相手の内容を評価する形ではなく、こちらの事情として書くと、受け取る側の気持ちが軽くなります。理由を一つに絞ると、言い方も自然に短くなります。
断りの理由は、相手のせいにも自分のせいにもせず、事実として一つ置くと伝わります。
行き先を、一つ添える
断られた側がその場で困るのは、次にどうすればよいかです。
もし知っている先があれば、一つだけ添えます。たとえば、その分野を専門にしている知り合い、相談できる窓口、ご自身で進めるときに役立つ資料。いくつも並べると、かえって選びにくくなります。思い当たる先がなければ、無理に書かなくて構いません。
行き先が一つあるだけで、断りの返信は、突き放す手紙ではなくなります。
次の扉は、閉めないでおく
今回は受けられなくても、時期が変われば受けられることがあります。そういうときは、そのことを一行で書いておきます。たとえば、来年の春以降であればご相談いただけます、と書く。具体的な時期があると、社交辞令ではないと分かります。
反対に、今後も受けられない内容なら、その一行は入れないほうが誠実です。また声をかけてください、と書いておきながら毎回断ることになれば、そのほうが関係を損ねます。
次にお断りの返信を書くときは、理由を一つに絞れているかを、送る前に確かめてみてください。それだけで、文面はずいぶん短く、やわらかくなります。
どんな依頼を受けて、どんな依頼を受けないか。その線が言葉になっていると、こうした返信も迷わずに書けます。理路のブランド整理診断では、一度のヒアリングでその線引きを整理し、使える言葉としてお返ししています。
