専門用語は分かりにくいと言われて、全部やさしい言葉に置き換えてみたら、今度は内容が薄く見えるようになってしまった。そんな経験をされた方は少なくないと思います。今回は、専門用語をどこまでかみ砕くかについて書きます。
かみ砕きすぎると、専門性まで消える
分かりやすさを優先して用語を全部開くと、文章から手ざわりがなくなります。「しっかり対応します」「丁寧に進めます」といった言葉ばかりが残り、どこの会社の説明としても通ってしまう文章になります。
読み手が求めているのは、簡単な言葉ではありません。分かる言葉です。この二つは似ていますが、同じではありません。難しい言葉が一つもない文章は、読みやすい代わりに、誰が書いても同じになります。
用語は、その仕事をしている人にしか使えない言葉です。消してしまうのは、もったいないことでもあります。
残す用語と、開く用語を分ける
すべてを同じように扱わず、二つに分けてみると整理しやすくなります。
残すのは、その用語を知らないと仕事の内容が伝わらないものです。開くのは、業界の内側だけで使われている言い回しや、社内の略語です。たとえば、工程の呼び名や、書類の通称、担当の呼び方といったものは、外に出す文章では開いたほうがよいことが多いです。
用語を消すのではなく、用語のとなりに一言を置くだけで、たいてい伝わります。
用語のすぐ後ろに、一言を添える
残すと決めた用語には、そのすぐ後ろに短い言い換えを置きます。かっこ書きでも、読点でつないでも構いません。
大切なのは、離れた場所で説明しないことです。ページの下に用語集を置いても、そこまで読む人はほとんどいません。読んでいるその行で分かるようにしておくと、止まらずに進めます。
言い換えは、正確さより短さを優先してよいと思います。厳密に説明しようとすると、かえって長くなり、そこで読むのをやめられてしまいます。おおよその見当がつけば、その先は読み進められます。
どこまで開けばよいか判断がつかないときは、その仕事に詳しくない人に読んでもらうのが確実です。家族でも、別の業種の知人でも構いません。読みながら止まった場所を教えてもらうだけで、開くべき言葉が分かります。自分では、どこが難しいのかが見えなくなっているからです。
読み手が誰かで、線は変わる
どこまで開くかに、決まった正解はありません。同業者に向けた文章と、初めて相談する人に向けた文章では、線を引く位置が変わります。
同じサイトのなかでも、トップページは開き、サービスの詳細ページでは少し残す、という形にすると自然です。詳しく読みに来た人は、用語があっても離れません。むしろ、そこまで開かれていると物足りなく感じます。
文章を直すときは、用語を消す前に、そのとなりに一言を足せないか考えてみてください。専門性を残したまま、分かりやすくできることがあります。
どの言葉を残し、どの言葉を開くかは、その事業が何を大事にしているかとつながっています。理路のブランド整理診断では、そのあたりも含めて一度のヒアリングから整理してお返ししています。
