打ち合わせや取材の場で「御社の強みは何ですか」と聞かれて、答えに詰まってしまう。そのあとで、自分の事業への理解が足りないのではないかと感じてしまう。そういう話を伺うことがあります。
けれど、すぐに答えられないことは、弱さの証拠ではありません。むしろ、それだけ長くその仕事をしてきたということでもあります。
強みは、はじめは意識してつくるものです。他と違うことをしよう、この部分を丁寧にしようと考えて始めます。ところが続けていくうちに、それは日常になります。毎日していることは、特別だと思わなくなる。これは自然なことです。
つまり、答えに詰まる状態は、強みが身についた結果として起こります。逆に、すぐに流れるように答えられる場合は、用意した言葉を繰り返しているだけということもあります。どちらが伝わるかというと、必ずしも後者ではありません。
大事なのは、その場で答えることではなく、あとから言葉にしておくことです。聞かれたときに困らないためではなく、Webサイトや案内文に載せるために必要だからです。
言葉にする方法は、探すのではなく、集めることです。お客様に言われた言葉、繰り返し説明していること、断ってきた仕事。この三つのなかに、強みの材料はほぼ入っています。自分の内側を掘るよりも、外側の記録を見るほうが早く見つかります。
そしてもうひとつ。強みは一つに絞る必要はあっても、変わらないものではありません。事業が変われば、伝える軸も変わります。一度決めたら固定するものではなく、そのときの事業に合っているかを、ときどき見直すもの。そう考えたほうが気が楽になります。
もし今、答えに詰まる状態でも、急いで言葉をつくらなくて大丈夫です。まずは、お客様に言われてうれしかった一言を、書き留めておくところから始めてみてください。
言葉を集めて整理する工程を、外から手伝う仕事をしています。理路のブランド整理診断では、一度のヒアリングから伝える軸を整理し、レポートと原稿でお渡ししています。
