自分の事業について、良さは感じている。でも、それを説明しようとすると「なんとなく良い」から先に進まない。丁寧です、こだわっています、お客様に寄り添っています。書いてみたものの、どこか物足りない。そんなことがあります。
物足りなさの原因は、言葉が抽象的すぎることです。抽象的な言葉は、書く側にとっては便利です。全部を含められるからです。でも読む側からすると、何も情報が増えません。
抽象を具体に変えるには、質問をひとつ足すだけで進みます。「それは、具体的に何をしていることか」です。
たとえば「丁寧に対応しています」なら、返信を24時間以内に必ず返している。初回は必ず電話で話す。見積もりの内訳をすべて書いている。このどれかが実際にやっていることのはずです。それを書くほうが、丁寧という言葉より伝わります。
「こだわっています」も同じです。何にこだわっているのかまで降りると、素材を一種類に絞っている、工程をひとつ増やしている、断る仕事を決めている、といった具体が出てきます。
この作業をすると、書ける量が増えます。抽象的な言葉は一行で終わりますが、具体は説明が続くからです。そして具体が並ぶと、読む人は自分で「丁寧だ」と感じます。こちらが言うより、そのほうが強く残ります。
もうひとつ有効なのは、比べる相手を思い浮かべることです。良さは、単独では説明しにくいものです。「他ではこうなっているけれど、うちはこうしている」という形にすると、輪郭が出ます。他社を悪く言う必要はありません。違いを書くだけで十分です。
気をつけたいのは、具体を書きすぎて情報が並列になることです。すべて同じ重さで並べると、読む人はどれを覚えればよいかわかりません。いちばん言いたい具体を最初に置き、残りはその後に添えてください。
いま使っている説明文から、抽象的な形容詞をひとつ選んでみてください。それが具体的に何をしていることなのかを、一行書き足してみる。一か所だけで、文章の印象は変わります。
自分の事業の具体は、内側にいると見つけにくいものです。理路では、一度のヒアリングから、実際にやっていることを言葉として拾い出し、使いやすい形に整えてお渡ししています。
