「御社の強みは何ですか」と聞かれて、すぐに答えられる方はあまりいません。答えに詰まるのは、強みがないからではなく、毎日していることが自分にとって当たり前になっているからです。だから強みは、頭のなかを探すよりも、外から拾い上げるほうが早く見つかります。

紙とペンだけでできる手順を書きます。三十分ほどで終わります。

はじめに、最近お客様から言われてうれしかった言葉を思い出してください。要約せず、言われたとおりに書きます。「対応が早くて助かった」「相談しやすかった」でも構いません。三つほど並べてみてください。思い出せなければ、メールやメッセージを遡って探します。実際に書かれた言葉のほうが、記憶より正確です。

次に、なぜお客様がそう言ったのか、思い当たることを書きます。ひとつの言葉に対して三つくらい出るとよい状態です。「対応が早くて助かった」なら、たとえば、普段から在庫を持っている。担当が一人で完結する体制にしている。連絡手段を電話に限定していない。このように、やっていることまで降りていきます。

ここで抽象的な言葉が出てきたら、もう一段降りてみてください。丁寧、誠実、親身。こうした言葉は、それ自体では何も説明していません。丁寧とは具体的に何をしていることか。そこに強みの実体があります。

最後に、書き出したもののうち、他社がすぐに真似できないものに丸をつけます。設備や価格は真似できますが、体制や判断の基準、蓄積した経験は真似しにくい。丸がついたものが、強みの候補です。

候補が複数残っても、伝えるときは一つに絞ります。三つ並べると、読む人はどれも覚えません。一つだけ言われたことは残ります。迷ったら、「この一点だけを覚えて帰ってほしい」と考えて選んでください。残りは捨てるのではなく、下の階層に置きます。最初に伝えるものが一つ、その理由として二つか三つ。この形にすると、文章の順番も決まります。

ひとりでやると、二つ目の手順で止まりやすいです。自分の行動は説明が要らないものとして飛ばしてしまうためです。そのときは、社内の誰かに「なんでうちを選んでくれてるんだと思う」と聞いてみてください。自分では当たり前だと思っていたことが返ってきます。

まずは最初の手順だけ、うれしかった一言を三つ書き写してみてください。それだけで、次に何を書けばよいかが少し見えます。

社内だけでは行き詰まるときは、外から聞く役を入れる方法もあります。理路のブランド整理診断では、この手順を一度のヒアリングでご一緒に進め、整理した結果をレポートと原稿でお渡ししています。